相続・事業承継2017年4月1日時点の法令に基づく出題です
2017年9月 FP2級学科 問60
相続税の納税資金対策に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
- 1オーナー経営者への役員退職金の支給は、自社株式の評価額を引き下げる効果が期待できることに加え、相続時における納税資金の確保にもつながる。
- 2オーナー経営者への役員退職金の支払い原資の準備として、契約者(=保険料負担者)および死亡保険金受取人を法人、被保険者をオーナー経営者とする長期平準定期保険や逓増定期保険などの生命保険に加入することが考えられる。
- 3オーナー経営者が死亡したときの相続税額の負担を軽減するため、オーナー経営者が保有する自社株式の大半を経営に関与しない第三者に生前に移転しておくことが望ましい。
- 4納付すべき相続税額について、延納によっても金銭で納付することを困難とする事由がある場合には物納が認められているが、物納に充てることができる財産の種類には申請順位があり、第1順位には国債、地方債、不動産、上場株式などが挙げられる。
正解と解説AI解説
正解 肢3
本問の論点
相続税の納税資金対策について、役員退職金、生命保険、自社株式の移転、物納という四つの手段の考え方を問う問題です。最も不適切なものを選ぶので、実務の方向性に反する記述を探します。
正解の根拠
肢3は、相続税の負担を軽くするために自社株式の大半を経営に関与しない第三者へ生前に移転する、という内容です。これでは経営権が後継者の手を離れ、事業承継そのものが成り立たなくなるおそれがあり、納税資金対策として望ましいとはいえません。よって、正解は肢3。
各肢の検討
肢1:役員退職金は自社株式の評価額を下げる方向に働き、遺族の納税資金にもなるため適切です。
肢2:法人を契約者・死亡保険金受取人とする保険で退職金の原資を準備する方法は考えられ、適切です。
肢3:上記のとおり、経営権を手放す点で不適切です。
肢4:物納は延納によっても金銭納付が困難な場合に認められる(相続税法第41条第1項)。不動産や国債、上場株式などは先順位の財産であり、適切です。
一言まとめ
納税資金対策は「経営権を守りつつ資金を確保する」発想で考え、物納は延納でも納められないときの手段と覚えましょう。
一問一答各肢の正誤
○肢1オーナー経営者への役員退職金の支給は、自社株式の評価額を引き下げる効果が期待できることに加え、相続時における納税資金の確保にもつながる。
役員退職金の支給は自社株式の評価額を引き下げる方向に働き、受け取った遺族の納税資金の確保にもつながるため、記述は正しい。
○肢2オーナー経営者への役員退職金の支払い原資の準備として、契約者(=保険料負担者)および死亡保険金受取人を法人、被保険者をオーナー経営者とする長期平準定期保険や逓増定期保険などの生命保険に加入することが考えられる。
法人が契約者かつ死亡保険金受取人となり被保険者をオーナー経営者とする定期保険に加入し、退職金の支払い原資を準備する方法は考えられるため、記述は正しい。
×肢3オーナー経営者が死亡したときの相続税額の負担を軽減するため、オーナー経営者が保有する自社株式の大半を経営に関与しない第三者に生前に移転しておくことが望ましい。
自社株式の大半を経営に関与しない第三者へ生前に移転すると、経営権を維持する後継者の立場を弱め、事業承継の目的に反するため、望ましいとはいえず記述は誤り。
○肢4納付すべき相続税額について、延納によっても金銭で納付することを困難とする事由がある場合には物納が認められているが、物納に充てることができる財産の種類には申請順位があり、第1順位には国債、地方債、不動産、上場株式などが挙げられる。
物納は延納によっても金銭納付が困難な場合に認められ、財産の種類には順位があり、不動産、国債、地方債、上場株式などが先順位に挙げられるため、記述は正しい。
関連条文解説で引用
- 相続税法第41条第1項
- 相続税法第41条第2項第1号
- 相続税法第41条第2項第2号
- 相続税法第41条第5項
出典:日本FP協会 2級ファイナンシャル・プランニング技能検定学科試験 2017年9月 問60 を加工して作成。本サイトは非公式の学習サイトです。
解説は2017年4月1日時点の法令に基づきます。基準日以降の改正が反映されていない場合があります。本サイトの解説は学習補助を目的とし、税務・投資・法律に関する助言ではありません。