相続・事業承継2017年10月1日時点の法令に基づく出題です
2018年5月 FP2級学科 問60
取引相場のない株式に係る類似業種比準価額に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、類似業種比準価額の計算に影響を与える他の要素については、考慮しないものとする。
- 1A社は土地を売却する予定であり、売却すると多額の売却損の発生が予想されるため、この土地の売却により類似業種比準価額を引き下げることができると考えている。
- 2B社は、類似業種比準価額の計算上、配当、利益および純資産という3つの比準要素のウエイトが「1:3:1」であるため、今後は、配当や純資産の引下げに努めるよりもウエイトの高い利益の引下げ(圧縮)に努めた方が、類似業種比準価額の引下げ効果は大きいと考えている。
- 3C社はこれまで無配であったが、今期、創業30年の記念配当を実施する予定であり、この配当を実施すると、比準要素のうちの配当がゼロからプラスになるため、類似業種比準価額が上昇するのではないかと考えている。
- 4D社の株式評価上の会社規模は、現在、中会社であるが、類似業種比準価額の計算上の斟酌率は会社規模が大きいほど小さくなるため、会社規模を大会社にさせて類似業種比準価額を引き下げたいと考えている。
正解と解説AI解説
正解 肢1
本問の論点
類似業種比準価額の計算で、配当・利益・純資産の各比準要素がどのように決まり、何が価額の引下げにつながるかを問う問題です。土地売却損、要素のウエイト、記念配当の扱い、会社規模と斟酌率の関係を整理する必要があります。
正解の根拠
土地を売却して多額の売却損が生じると、その損失の分だけ会社の純資産額(帳簿価額ベース)が減少します。純資産は比準要素の一つですから、売却損の計上は類似業種比準価額を引き下げる方向に働きます。よって、正解は肢1。
各肢の検討
肢1:売却損により純資産が減るため、価額を引き下げられるという考えは適切です。
肢2:ウエイトが高いことと引下げ効果の大きさは別問題で、実際の効果は各要素の比準割合の大きさに左右されるため、利益の圧縮が常に有利とは言えず不適切です。
肢3:記念配当のような特別な配当は経常的な配当とはみなされず、比準要素の配当に含めないため、価額は上昇せず不適切です。
肢4:斟酌率は会社規模が大きいほど大きくなるため、大会社にしても価額は下がらず、前提が逆で不適切です。
一言まとめ
記念配当や特別配当は比準要素の配当から除かれ、斟酌率は規模が大きいほど大きい、と押さえましょう。
一問一答各肢の正誤
○肢1A社は土地を売却する予定であり、売却すると多額の売却損の発生が予想されるため、この土地の売却により類似業種比準価額を引き下げることができると考えている。
土地の売却損が生じると会社の純資産が売却損の分だけ減少し、比準要素の純資産が下がるため、類似業種比準価額を引き下げることができる。
×肢2B社は、類似業種比準価額の計算上、配当、利益および純資産という3つの比準要素のウエイトが「1:3:1」であるため、今後は、配当や純資産の引下げに努めるよりもウエイトの高い利益の引下げ(圧縮)に努めた方が、類似業種比準価額の引下げ効果は大きいと考えている。
ウエイトが高いからといって引下げ効果が大きいとは限らず、実際の効果は各要素の比準割合の変化の大きさによるため、利益の圧縮が常に有利とは言えない。
×肢3C社はこれまで無配であったが、今期、創業30年の記念配当を実施する予定であり、この配当を実施すると、比準要素のうちの配当がゼロからプラスになるため、類似業種比準価額が上昇するのではないかと考えている。
創業記念の配当のような特別な配当は経常的なものではなく、比準要素の配当に含めないため、実施しても類似業種比準価額は上昇しない。
×肢4D社の株式評価上の会社規模は、現在、中会社であるが、類似業種比準価額の計算上の斟酌率は会社規模が大きいほど小さくなるため、会社規模を大会社にさせて類似業種比準価額を引き下げたいと考えている。
斟酌率は会社規模が大きいほど大きくなる関係にあり、大会社にしても斟酌率は小さくならないため、価額を引き下げる効果は得られない。
出典:日本FP協会 2級ファイナンシャル・プランニング技能検定学科試験 2018年5月 問60 を加工して作成。本サイトは非公式の学習サイトです。
解説は2017年10月1日時点の法令に基づきます。基準日以降の改正が反映されていない場合があります。本サイトの解説は学習補助を目的とし、税務・投資・法律に関する助言ではありません。