相続・事業承継2022年10月1日時点の法令に基づく出題です
2023年5月 FP2級学科 問59
中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律における「遺留分に関する民法の特例」(以下「本特例」という)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
- 1本特例の適用を受けることによって、後継者が旧代表者から贈与により取得した自社株式の全部または一部について、その価額を、遺留分を算定するための財産の価額に算入しないことができる。
- 2本特例の適用を受けることによって、後継者が旧代表者から贈与により取得した自社株式の全部または一部について、遺留分を算定するための財産の価額に算入すべき価額を、本特例の適用に係る合意をした時点の価額とすることができる。
- 3本特例の適用を受けるためには、経済産業大臣の確認および家庭裁判所の許可を受ける必要がある。
- 4後継者が贈与により取得した自社株式が金融商品取引所に上場されている場合であっても、本特例の適用を受けることができる。
正解と解説AI解説
正解 肢4
本問の論点
経営承継円滑化法の「遺留分に関する民法の特例」について、除外合意・固定合意の内容、適用の手続、対象となる会社の範囲を問う問題である。後継者が取得した自社株式の遺留分算定上の扱いを合意で定める制度である。
正解の根拠
本特例の対象となるのは特例中小会社の株式等であり、特例中小会社は非上場の中小企業に限られる。したがって、金融商品取引所に上場されている株式については本特例の適用を受けることができず、肢4の記述は不適切である。よって、正解は肢4。
各肢の検討
肢1:適切。全員の合意により、贈与を受けた株式等の全部または一部の価額を遺留分を算定するための財産の価額に算入しない定め(除外合意)ができる(経営承継円滑化法第4条第1項第1号)。
肢2:適切。算入すべき価額を合意の時における価額とする定め(固定合意)ができる。ただし、その価額は弁護士・公認会計士・税理士等が証明したものに限られる(経営承継円滑化法第4条第1項第2号)。
肢3:適切。合意をした後継者は経済産業大臣の確認を受け(経営承継円滑化法第7条第1項)、さらに家庭裁判所の許可を受けることで合意の効力が生じる。
肢4:不適切。上場会社の株式は本特例の対象外である。
一言まとめ
「除外合意と固定合意」「経済産業大臣の確認と家庭裁判所の許可」「非上場の中小企業のみ」の3点をセットで押さえる。
一問一答各肢の正誤
○肢1本特例の適用を受けることによって、後継者が旧代表者から贈与により取得した自社株式の全部または一部について、その価額を、遺留分を算定するための財産の価額に算入しないことができる。
推定相続人と後継者の全員の合意により、後継者が旧代表者からの贈与により取得した株式等の全部または一部について、その価額を遺留分を算定するための財産の価額に算入しない定め(除外合意)をすることができる。
○肢2本特例の適用を受けることによって、後継者が旧代表者から贈与により取得した自社株式の全部または一部について、遺留分を算定するための財産の価額に算入すべき価額を、本特例の適用に係る合意をした時点の価額とすることができる。
遺留分を算定するための財産の価額に算入すべき価額を合意の時における価額とする定め(固定合意)をすることができる。ただし、その価額は弁護士・公認会計士・税理士等が相当な価額として証明したものに限られる。
○肢3本特例の適用を受けるためには、経済産業大臣の確認および家庭裁判所の許可を受ける必要がある。
合意をした後継者は経済産業大臣の確認を受けることができ、さらに許可があった場合に合意の効力が生じる。この許可は家庭裁判所が行うものであり、確認と許可の両方が必要である。
×肢4後継者が贈与により取得した自社株式が金融商品取引所に上場されている場合であっても、本特例の適用を受けることができる。
本特例の対象は特例中小会社の株式等であり、特例中小会社は非上場の中小企業に限られるため、上場されている株式については本特例の適用を受けることができない。
関連条文解説で引用
- 経営承継円滑化法第4条第1項
- 経営承継円滑化法第4条第1項第1号
- 経営承継円滑化法第4条第1項第2号
- 経営承継円滑化法第7条第1項
- 経営承継円滑化法第9条第1項
出典:日本FP協会 2級ファイナンシャル・プランニング技能検定学科試験 2023年5月 問59 を加工して作成。本サイトは非公式の学習サイトです。
解説は2022年10月1日時点の法令に基づきます。基準日以降の改正が反映されていない場合があります。本サイトの解説は学習補助を目的とし、税務・投資・法律に関する助言ではありません。