相続・事業承継2023年4月1日時点の法令に基づく出題です
2023年9月 FP2級学科 問60
株式譲渡によるM&A等に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、本問において、株式会社は非上場会社であるものとする。
- 1M&Aにより、株式会社の取締役が保有する当該株式会社の株式を買収会社に譲渡した場合、原則として、当該株式の譲渡による所得に対して、申告分離課税により所得税および住民税が課される。
- 2M&Aにより、株式会社の取締役が保有する当該株式会社の株式を買収会社に譲渡した場合、譲渡所得の金額の計算上、その収入金額は、原則として、取引当事者間の契約により決定された譲渡金額である。
- 3株式会社は、あらかじめ定款に定めておくことにより、相続により当該株式会社の株式(譲渡制限株式)を取得した者に対して、当該株式を当該株式会社に売り渡すことを請求することができる。
- 4株式譲渡制限会社である株式会社においては、株主でなければ取締役に就任することはできない。
正解と解説AI解説
正解 肢4
本問の論点
非上場会社の株式を譲渡するM&Aについて、売り手である個人の課税関係と、会社法上の譲渡制限株式・取締役の資格に関するルールを問う問題である。
正解の根拠
株式譲渡制限会社では、定款で取締役を株主に限る旨を定めることができるにとどまり、法律上当然に株主であることが求められるわけではない。定款にその定めがなければ、株主でない者も取締役に就任できる。「株主でなければ取締役に就任することはできない」と言い切る肢4は誤りである。よって、正解は肢4。
各肢の検討
肢1:適切。個人が非上場株式を譲渡した所得は、一般株式等に係る譲渡所得等として他の所得と区分され、原則として申告分離課税により所得税および住民税が課される。
肢2:適切。譲渡所得の収入金額は、原則として取引当事者間の契約で決定された譲渡金額である。
肢3:適切。株式会社は、相続その他の一般承継により自社の株式(譲渡制限株式に限る。)を取得した者に対し、その株式を会社に売り渡すよう請求できる旨を定款で定めることができる(会社法第174条第1項)。
肢4:不適切。取締役を株主に限る定めは定款で任意に置けるものにすぎない。
一言まとめ
相続人等への売渡請求は「譲渡制限株式」「相続その他の一般承継」「定款の定め」がそろって初めて可能、取締役の株主限定は「定款で定めた場合だけ」と押さえる。
一問一答各肢の正誤
○肢1M&Aにより、株式会社の取締役が保有する当該株式会社の株式を買収会社に譲渡した場合、原則として、当該株式の譲渡による所得に対して、申告分離課税により所得税および住民税が課される。
個人が非上場株式を譲渡した所得は一般株式等に係る譲渡所得等として、原則として申告分離課税により所得税および住民税が課される。
○肢2M&Aにより、株式会社の取締役が保有する当該株式会社の株式を買収会社に譲渡した場合、譲渡所得の金額の計算上、その収入金額は、原則として、取引当事者間の契約により決定された譲渡金額である。
株式の譲渡所得の収入金額は、原則として取引当事者間の契約で決定された譲渡金額である。
○肢3株式会社は、あらかじめ定款に定めておくことにより、相続により当該株式会社の株式(譲渡制限株式)を取得した者に対して、当該株式を当該株式会社に売り渡すことを請求することができる。
株式会社は、相続その他の一般承継により譲渡制限株式を取得した者に対し、会社への売渡しを請求できる旨を定款で定めることができる。
×肢4株式譲渡制限会社である株式会社においては、株主でなければ取締役に就任することはできない。
株式譲渡制限会社では定款で取締役を株主に限ることができるにとどまり、定款の定めがなければ株主でない者も取締役に就任できる。
関連条文解説で引用
- 会社法第174条第1項
出典:日本FP協会 2級ファイナンシャル・プランニング技能検定学科試験 2023年9月 問60 を加工して作成。本サイトは非公式の学習サイトです。
解説は2023年4月1日時点の法令に基づきます。基準日以降の改正が反映されていない場合があります。本サイトの解説は学習補助を目的とし、税務・投資・法律に関する助言ではありません。